テキスト 20191114.

「まともに生きていれば」

 僕はきみのことが好きだ。
 きみを見かけると「もっとまともに生きていればよかった」と思う。
 もっとまともな人間であれば、きみと触れ合えるチャンスがあったかもしれない。
 もっと常識的であれば、きみのことをちゃんと諦められたかもしれない。
 だけど僕はまともに生きてこなかったせいで、きみに近づくことも、離れることもできないでいる。
 少し離れた場所からきみを見て「もし、きみみたいな女の子と」と考えながら、ただ、過ごしている。
 そうしている間にきみは誰かと出会い、恋に落ち、結ばれる。
 僕はその後、何年も、何十年も、ずっと「きみのことが好きだ」と思い続ける。
 そして時は経ち、世界はロボットに支配される。
 人間はAIを動かすための養分となり、液体の詰まったポッドの中で一生を終える。
 首に繋がれたケーブルから、プログラムが僕に問いかける。
 『可愛そうな人間よ、みじめな一生の人間よ。せめて何かひとつだけ願いを叶えましょう。
あなたの望むビジョンを直接脳に見せてあげます』
「僕は、好きな人と結ばれる未来が見たいのです」
 プログラムはウインクして、僕の脳内に映像を送り込む。
 そこでようやく僕は、きみに話しかけることができる。
 僕は何かをきみにいう。きみは戸惑った顔をするけど、すぐに笑顔になる。
 僕はその笑顔を見るために生きてきたんだなーと感じる。

 僕はきみのことが好きだ。だから液体の詰まったポッドの中に入る前に、 きみに気持ちを伝えなくてはならない。
でも僕はまともに生きてこなかったから、少し離れた場所からきみを見て
「もし、きみみたいな女の子と」と考えているだけなの。

日記 20190709.

■日記

 2年ぶりくらいの日記です。

 雨が降っていたので家の中に閉じこもって天井を眺めていた。

 僕は昔小説を書いていたけれど、今は長い文章を書くのにとても時間がかかるようになり、なかなか
小説を書くことができない。頭の中には話の種のようなものがあるが、それを形にする体力が
なくなってしまった。

 思えば昔は言いたいことがたくさんあった。例えば、アニメや漫画ばかり見ていないで、外に出て現実と向き合おう。
 それは当時まっとうな意見に思えたし、虚構の世界で生きることは人間として不自然であると考えた。
 僕は中学生から不登校になり、ずっと家に閉じこもっていた。誰かと交流したいけど、誰とも交流できない。
 たった1人でラジオを聴きながら時間が過ぎるのをじっと待っていた。
 僕はアニメや漫画に没頭することでコミュニケーション不全になってしまった。だから、他の誰かが僕みたいな不幸な人間に
なるのは見たくない。だから僕は逆にライトノベルを通して、人と人とのコミュニケーションの話を中心に書いていた。

 例えば代表作となる「神様家族」は、神様の息子が主人公の物語だ。当時のライトノベルは主人公の男の子が
理由もなくモテまくるというのが多くて、神様家族もその手法で書き始めた。しかし「理由もなく」ではなく「神様の息子」
だからモテるというのがポイントだ。出版社にとって読者の方も神様かもしれない。読者の方と主人公を同じ神様として扱った。
 しかし、こういったハーレムものばかり見ていると、虚構に入り浸ってしまう恐れがあるのではないだろうか。
 だから僕は神様家族の終盤で物語をツイストさせ、虚構の中に現実を放り込んだ。自ら進んでコミュニケーションを
しないといけなくなる、というような構造にしたのだった。
 この話を読んで、虚構と現実との距離感をいまいちど考えなおして欲しいと思ったのだった。

だがしかし。

 虚構と現実の区別がついてないのは僕だけだった。読者の方は物語は物語、現実は現実でちゃんと
区別して生きているのでした。まあそうりゃそうだよね。みんな大体学校ちゃんと行ってるわけだし。
 むしろやべーのは僕だけ、学校いってないの僕だけ、現実と虚構の区別ついてないの自分だけっていう。考えすぎ。
 今ではアニメや漫画が趣味の友達もいっぱいできる環境だし、ネットで誰とでもつながるし
「アニメばっかり見てたら孤独になる」って悩んでいた僕はまったくの取り越し苦労になったわけだ。
 神様家族のそんなメッセージ性はさておき、当時は好評で続刊が出てテレビアニメにもなった。
 今では「小学校の頃にアニメを見てました」なんて言われることもあって、自分も年を取ったなぁとしみじみ思う。
 いやー。それでね、僕のメインテーマは現実と虚構だったわけですが、わりとみなさん区別なさってるわけで、
となるとそれを語る必要もなくなってしまったんです。いわゆるテーマを喪失してしまったわけですね。
 そうなるとねえ、何を書いていいやら。困ったもんですよ。

 ああ、それにしたって僕の取り越し苦労は本当に徒労に終わった。だってエヴァンゲリオンもさ、現実に帰るんだよ、
っていうメッセージを映画版でやってたでしょ(直接的には言ってないけど、そう受け取ったんだよ!)。
 それを真に受けて、そうか、いつまでもアニメにすがってはいかん、と思ってたのに、庵野監督まだエヴァンゲリオン
作ってるし。なんなのよ。どういう気持ちで見ればいいの。っていうね。

 そんなわけで、雨の中で「知らない天井」ではなく「知ってる天井」を見上げながら、そういうことを
考えていたわけです。昔、オタクといえば理不尽に迫害されていたけど、今では市民権を得た感があって、
まさかこんな世の中になると思ってなかったので嬉しいながらも戸惑っている。
 でもやっぱり、みんなが好きなものを好きって普通に言える世界って健全ですよね。なかには、おいおいそれを
好きって公衆の面前で言うのはいささか問題あるだろう、というのもあるけれど、それはケースバイケースで。

 なんだかフワッとしたような文章になってしまった気がする。雨だからかな。

 仕事に戻ります。

宣伝です!

 今日の日記に出てきた「神様家族」は電子書籍等でお買い求め頂けます。
 現実と虚構の境界線にチャレンジした意欲作! というのは言い過ぎですが、
当時の僕が一生懸命書いたものなので、それなりの若さなども含めて見るべき箇所が
あると思います。よろしければお買い求めください。


■神様家族■

古本が1円で売ってるけど、それはあまりにもあれなので、できれば
電子書籍で買って頂けると嬉しいです。もちろん古本で買うのも皆様の自由です。

あとあれだ、九冊セットになってる電子書籍とかもあるので、それはお買い得になってるんだと思う。
神様家族は8で終わってて、続編の神様家族Zというを一冊書いたんだけど、その続きを書く
体力がなくなってしまっています。あの頃は迷ってたんだろうな、色々と。

次回は、僕の音楽活動について書きたいと思います。E TICKET PRODUCTIONという名前で曲を作っているんだ。

追伸
 前回の日記で、ちょっとふざけすぎてる感じの部分があったので消しました。
前回の日記はだいぶ張り切ってるというか、緊張してるけど、今日はもう少しだけ自然に書けたと思う。
それでも文章が変な部分があったので手を入れたけど。そう、僕は結構文章を手直しするタイプです。

 
日記 2017.01.

■お久しぶりです 2017.01.31.

 みなさんお久しぶりです、クリアラバーソウルです。
昔は「よしかづ」という名前でサイトを更新していました。
その後で苗字がついて漢字表記で「桑島由一」になりました。
「ゆういち」と呼ばれることも多々ありますが「よしかづ」です
(「ず」じゃなくて「づ」)。

 さて、リードミーの上位をキープしていたことでお馴染みのクリラバですが、
 かなり久しぶりの更新です。2006年以来の日記の更新ですから、
10年近く日記の更新をサボっておりました。果たして10年は「サボる」という言葉の範疇なのか
自分でも疑問です。

 サイトを更新するにあたって過去の日記を少し読んだのですが、
時代を感じさせる文章でお恥ずかしい限りです。全部消してしまいたいですが、
これも貴重な記録ということで残しておきます。
 一部消したテキストもありますが、「パーフェクトキス」という名前で書籍になっているので
興味のある方はぜひお買い求めください。もう本屋さんでは買えないと思いますが
電子書籍で売ってるはずです。おそらく。
若さにあふれたテキストが読めます。絶対読んだ方いいですよ(なんちゃって)。

 いやあ、久しぶりにサイト更新すると、妙に恥ずかしい気持ちになりますね。
 しかし、あれから色々ありましたが、みなさんはいかがお過ごしでしょうか。
更新サボってる間に、この世界からいなくなっちゃった人もたくさんいるし、
時の流れは冗談では済まないことばかりです。若い頃は(僕も「若い頃は」なんて使うようになった!)
勢いだけでどうにかなっていたけど、もうあらゆることが勢いではどうにもならなくなりました。
クリラバをリアルタイムで見てた人は、今はどんな生活をしていますか? ちゃんと元気かい?
 僕は周りの人が立派な大人になってるのに、自分だけ何者にもなれなくて、まだジタバタしてます。
劣等感と虚無感に包まれながら、人に会ったらヘラヘラする、という人生です。
ここ一週間ぐらいすごい調子も悪いしさ。もうねえ。やあねえ。あーぁ。くそぅ。

 ところで、どうしてこんな久しぶりに更新をしているのかと申しますと、宣伝です!
 最近ですね「E TICKET PRODUCTION」という名義で音楽活動をしているのですが、
初の作品集が発売されました。これは、僕が歌詞とか曲とか作って、それに合わせて
アイドルの女の子たちがラップするというものです。



 昔、レコードを作らないで同人誌を作るレコードレーベル「ノーディスクレコーズ」を
やってましたが、ついに音楽をリリースすることができました。




 僕にとっての音楽は魔法みたいなもので、一瞬で気持ちをハッピーにさせたり、
逆に落ち込ませたり、本当に不思議な存在です。
 自分にはその魔法は一生使えないと思っていたのですが、
なぜか奇跡的にちょっとだけ使えるようになりました。
飛行機が飛ぶ原理がわからなくても乗ってしまえば移動できるように、
僕も音楽のことはよくわかってないけど、スピーカーから音が出てしまえば
こっちのもの、とばかりに曲を作ってます。



 というわけで、買ってね!

 ■E TICKET RAPSHOW■





 久しぶりの更新で文章が若干ぎこちないですが、
ぜひよろしくお願いします。

 それでは今度は十年後に? いやもうちょっと近いうちに更新しようと思います。

 それではー。